ばしょうについて
芭蕉について

冒頭文

芭蕉の句で忘られないのがいくつかある。 あらたうと青葉若葉の日の光 いざゆかん雪見にころぶところまで 霧時雨不二を見ぬ日ぞおもしろき それから又別な心の境地として、 初しぐれ猿も小蓑をほしげなり おもしろうてやがてかなしき鵜飼かな 馬をさへながむる雪のあした哉 住つかぬ旅の心や置炬燵 うき我をさびしがらせよかんこ鳥 雄大、優婉な趣は、

文字遣い

新字新仮名

初出

「新女苑」1940(昭和15)年1月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十一巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年1月20日