じんせいのきょうかん もとめられるぶんがくについて
人生の共感 求められる文学について

冒頭文

今日、私たちが文学に求めているものは何であろう。求められている文学とは、どういうものだろう。 部分的ないろいろの要求というものは、いつもあったし、これからもずっと自分にもひとにも持たれつづけると思うが、特にきょう私たちが文学に求めている何かは、文学の本質にふれた何かであり、人生に向う心持の底の方にある何かの反映であるように思われる。日々に生きている感情のなかでジリッと何かが求められている

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸」1939(昭和14)年8月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十一巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年1月20日