すりかえかいが うていてんくしりーず・ご
すり替え怪画 烏啼天駆シリーズ・5

冒頭文

ルパン式盗難 その朝、志々戸伯爵(ししどはくしゃく)は、自分の書斎に足を踏み入れるや、たちまち大驚愕(だいきょうがく)に襲われた。 それは書斎の壁にかけてあったセザンヌ筆の「カルタを取る人」の画に異常を発見したためである。 零落した伯爵の今の身にとって、この名画は、唯一の宝でもあったし、また最高の慰めでもあったのだ。この名画ばかりは、いくら商人から高く買おうといわれても、

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説読物街」1949(昭和24)年1月号

底本

  • 海野十三全集 第12巻 超人間X号
  • 三一書房
  • 1990(平成2)年8月15日