きぞくはしはらう うていてんくシリーズ・いち
奇賊は支払う 烏啼天駆シリーズ・1

冒頭文

1 一代の奇賊烏啼天駆(うていてんく)と、頑張り探偵袋猫々(ふくろびょうびょう)との対峙(たいじ)も全く久しいものだ。 だが奇賊烏啼天駆にいわせると、袋猫々なる迷探偵などは歯牙(しが)にもかけていないそうで、袋めは奇賊烏啼を捕えて絞首台へ送ってみせると日頃から宣伝を怠(おこた)らず、その実一度だって捕えたこともなく、つまりは袋探偵は余輩天駆の名声に便乗し虚名をほしいままにしているの

文字遣い

新字新仮名

初出

「交通クラブ」1947(昭和22)年10月~11月号

底本

  • 海野十三全集 第12巻 超人間X号
  • 三一書房
  • 1990(平成2)年8月15日