ともぐい
とも喰い

冒頭文

雪まびれになった阿母は、精根枯らした顔で帰って来た。一日村を歩きまわって、貰ったのは蕎麦(そば)殻の袋だった。それでも仔細に見ると多少の粉が篩い落されるかも知れないと云うのだ。 「救済いうて、一体何時のことやら——誰ももう耐え切れんわ。明日は役場に押しかけるんやと——」 そして袋を投げ出した。「食べるものかい?」と子供達は阿母の顔を覗き込み、袋の中に手を入れた。大きな児はそわそわしてい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7
  • 新日本出版社
  • 1985(昭和60)年3月25日