あらそわれないじじつ
争われない事実

冒頭文

誰よりも一番親孝行で、一番おとなしくて、何時でも学校のよく出来た健吉がこの世の中で一番恐ろしいことをやったという——だが、どうしても母親には納得がいかなかった。見廻りの途中、時々寄っては話し込んで行く赫ら顔の人の好い駐在所の旦那が、——「世の中には恐ろしい人殺しというものがある、詐偽というものもある、強盗というものもある。然し何が恐ろしいたって、この日本の国をひッくり返そうとする位おそろしいものが

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7
  • 新日本出版社
  • 1985(昭和60)年3月25日