こんどこそ
今度こそ

冒頭文

甲吉の野郎、斯う云うのだ。 「何しろ俺には年とったおふくろもあるし、女房もあるし、餓鬼もあるし——」 だからストライキには反対だと云うんだ。それから、あいつはそっと小声でつぶやく、 「若え奴らのオダテに乗れるかい」 スキャップにはスキャップの理窟があるもんだ。馘になったら困る。今の世の中に仕事を捜すだけでも大変なんだ。 「俺ア厭だよ、おふくろや女房や餓鬼を飢えさせるな

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7
  • 新日本出版社
  • 1985(昭和60)年3月25日