ながつかたかししのしょうせつ「つち」 |
| 長塚節氏の小説「土」 |
冒頭文
一方に斯(こ)んな考えがあった。—— 好い所を世間から認められた諸作家の特色を胸に蔵して、其標準で新しい作物に向うと、まだ其作物を読まないうちに、早く既に型に堕在している。従ってわが評論は誠実でも、わが態度は独立でも、又わが言説の内容は妥当でも、始めから此方に定まった尺度を持っていて、其尺度で測(はか)ってならないもの迄も律したがる弊が出る。其結果は働きのない死んだ批評に陥(おちい)って仕舞(
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 筑摩全集類聚版 夏目漱石全集 10
- 筑摩書房
- 1972(昭和47)年1月10日