『わがはいはねこである』げへんじじょ
『吾輩は猫である』下篇自序

冒頭文

「猫」の下巻を活字に植えて見たら頁(ページ)が足りないから、もう少し書き足してくれと云う。書肆(しょし)は「猫」を以(もっ)て伸縮自在と心得て居るらしい。いくら猫でも一旦(いったん)甕(かめ)へ落ちて往生した以上は、そう安っぽく復活が出来る訳のものではない。頁が足らんからと云うて、おいそれと甕(かめ)から這(は)い上る様では猫の沽券(こけん)にも関わる事だから是丈(これだけ)は御免蒙(ごめんこうむ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 筑摩全集類聚版 夏目漱石全集第十巻
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年1月10日