妙な手紙 僕は、まるで催眠術(さいみんじゅつ)にかかりでもしたような状態で、廃墟(はいきょ)の丘をのぼっていった。 あたりはすっかり黄昏(たそが)れて広重(ひろしげ)の版画の紺青(こんじょう)にも似た空に、星が一つ出ていた。 丘の上にのぼり切ると、僕はぶるぶると身ぶるいした。なんとまあよく焼け、よく崩れてしまったことだろう。巨大なる墓場だ。犬ころ一匹通っていない。向うには、焼けのこった防火