かいていとし
海底都市

冒頭文

妙な手紙 僕は、まるで催眠術(さいみんじゅつ)にかかりでもしたような状態で、廃墟(はいきょ)の丘をのぼっていった。 あたりはすっかり黄昏(たそが)れて広重(ひろしげ)の版画の紺青(こんじょう)にも似た空に、星が一つ出ていた。 丘の上にのぼり切ると、僕はぶるぶると身ぶるいした。なんとまあよく焼け、よく崩れてしまったことだろう。巨大なる墓場だ。犬ころ一匹通っていない。向うには

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 海野十三全集 第13巻 少年探偵長
  • 三一書房
  • 1992(平成4)年2月29日