ざしきぼっこのはなし
ざしき童子のはなし

冒頭文

ぼくらの方の、ざしき童子(ぼっこ)のはなしです。 あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭(にわ)であそんでおりました。大きな家にだれもおりませんでしたから、そこらはしんとしています。 ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと箒(ほうき)の音がしたのです。 ふたりのこどもは、おたがい肩(かた)にしっかりと手を組みあって、こっそり行ってみまし

文字遣い

新字新仮名

初出

「月曜」1926(大正15)年2月号

底本

  • セロ弾きのゴーシュ
  • 角川文庫、角川書店
  • 1957(昭和32)年11月15日、1967(昭和42)年4月5日10版