「まよいのすえは」 よこみつしの「ちゅうぼうにっき」について
「迷いの末は」 横光氏の「厨房日記」について

冒頭文

『文芸春秋』の新年号に、作家ばかりの座談会という記事がのせられている。河豚(ふぐ)礼讚、文芸雑誌の今昔などというところから、次第に様々の話題へ展開しているこの記事は、特に最後の部分、二・二六と大震災当時の心境についてそれぞれの出席者が所感を語っている部分に至って、読者の感想を喚(よ)び出す幾多のものを示している。徳田秋声、菊池寛、久米正雄等の作家たちが、震災以来今日までの十五年間に生きて来た社会的

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸」1937(昭和12)年2月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十一巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年1月20日