ロシアのたびより
ロシアの旅より

冒頭文

一 九月十四日の夜モスクヷァを立ち今日(十六日)はヴォルガ河を下って居ります。モスクヷァを立つときはステーションが間違って本当に自分の汽車の出るステーションへついたらもう出るばかり、ほとんど飛び乗るようにしてやっとニージニーノブゴロドまで来ました。それからヴォルガの船です。この旅行は当りました。ロシヤへ来てから本当に楽に安心して旅をたのしむ始めての経験です。大体ヴォルガは夏下るのが普通で、も

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1928(昭和3)年10月12、20日号

底本

  • 宮本百合子全集 第九巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年9月20日