じゅもくとそのは 36 しぜんのいきしぜんのこえ
樹木とその葉 36 自然の息自然の声

冒頭文

私はよく山歩きをする。 それも秋から冬に移るころの、ちやうど紅葉が過ぎて漸くあたりがあらはにならうとする落葉のころの山が好きだ。草鞋ばきの足もとからは、橡(とち)は橡、山毛欅(ぶな)は山毛欅、それ〴〵の木の匂を放つてゞも居る樣な眞新しい落葉のから〳〵に乾いたのを踏んで通るのが好きだ。黄いな色も鮮かに散り積つた中から岩の鋭い頭が見え、其處には苔が眞白に乾いてゐる。時々大きな木の根から長い尾

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日