じゅもくとそのは 15 くうそうとがんぼう
樹木とその葉 15 空想と願望

冒頭文

噴火口のあとともいふべき、山のいただきの、さまで大きからぬ湖。あたり圍む鬱蒼たる森。森と湖との間ほぼ一町あまり、ゆるやかなる傾斜となり、青篠密生す。青篠の盡くるところ、幅三四間、白くこまかき砂地となり、渚に及ぶ。その砂地に一人寢の天幕を立てて暫く暮し度い。ペンとノートと、愛好する書籍。堅牢なる釣洋燈、精良な飮料、食料。石楠木(しやくなぎ)咲き、郭公、啼く。誰一人知人に會はないでふところの心配なしに

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日