じゅもくとそのは 10 つめたさよわがみをつつめ
樹木とその葉 10 冷たさよわが身を包め

冒頭文

冷たさよわが身をつゝめわが書齋の窓より見ゆる遠き岡、岡のうへの木立一帶に黝(くろ)み靜もり岡を掩ひ木立を照しわが窓さきにそゝぐ夏の日の光に冷たさあれわが凭る椅子腕を投げし卓子(てーぶる)脚重くとどける疊部屋をこめて動かぬ空氣すべてみな氷のごとくなれわがまなこ冷かに澄みあるとなきおもひを湛へ勞れはてしこゝろは森の奧に古びたる池の如くにあれあゝねがふわが日の安らかさわが日の靜けさわが日の冷たさを

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日