○ 乾きたる 落葉のなかに栗の實を 濕りたる 朽葉(くちば)がしたに橡(とち)の實を とりどりに 拾ふともなく拾ひもちて 今日の山路を越えて來ぬ 長かりしけふの山路 樂しかりしけふの山路 殘りたる紅葉は照りて 餌に餓うる鷹もぞ啼きし 上野(かみつけ)の草津の湯より 澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路 名も寂し暮坂峠 ○ 朝ごとに つまみとりて いただきつ ひと