じゅもくとそのは 09 かれののたび
樹木とその葉 09 枯野の旅

冒頭文

○ 乾きたる 落葉のなかに栗の實を 濕りたる 朽葉(くちば)がしたに橡(とち)の實を とりどりに 拾ふともなく拾ひもちて 今日の山路を越えて來ぬ 長かりしけふの山路 樂しかりしけふの山路 殘りたる紅葉は照りて 餌に餓うる鷹もぞ啼きし 上野(かみつけ)の草津の湯より 澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路 名も寂し暮坂峠   ○ 朝ごとに つまみとりて いただきつ ひと

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日