じゅもくとそのは 06 あたりのやまよりふじをあおぐき
樹木とその葉 06 四辺の山より富士を仰ぐ記

冒頭文

駿河(するが)なる沼津より見れば富士が嶺の前に垣なせる愛鷹(あしたか)の山 東海道線御殿場驛から五六里に亙る裾野を走り下つて三島驛に出る。そして海に近い平地を沼津から原驛へと走る間、汽車の右手の空におほらかにこの愛鷹山が仰がるる。謂(い)はば蒲鉾形(かまぼこがた)の、他奇ない山であるが、その峯の眞上に富士山が窺(のぞ)いてゐる。 いま私の借りて住んでゐる家からは先づ眞正面に愛鷹

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 若山牧水全集 第七卷
  • 雄鷄社
  • 1958(昭和33)年11月30日