だいしのにっとう
大師の入唐

冒頭文

(一)緒言 毎年この六月に、弘法大師降誕會が主催となり、東西の碩學を聘して講演會を開き、大師の遺風餘徳を偲ぶといふことは、極めて結構な企と思ふ。古人を尚友すと申して、過去の偉人を修養の手本とするのは、非常に效驗が多い。現存の人々にも立派な方は尠くなからうが、生きた人間の褒貶は定らぬ。憲政の神樣が一朝にして憲政の賊に早變りなし、清節を看板の人が、その反對の事實を新聞紙上に素張(すつぱ)拔かれた

文字遣い

旧字旧仮名

初出

弘法大師降誕記念會講演、1921(大正10)年6月15日

底本

  • 桑原隲藏全集 第一卷 東洋史説苑
  • 岩波書店
  • 1968(昭和43)年2月13日