うこうせいさくのじだい
禹貢製作の時代

冒頭文

支那古代の經濟事情を研究するに就いて、尚書の禹貢が重要なる史料であることは勿論のことである。それ故近頃學者の此研究に力を致す人が追々と出來てゐるやうである。而るに禹貢が如何なる時代に於て作られたかといふことを先づ決めなければ、その内容に關する研究は往々にして沙上に樓閣を築いたと同樣になる恐がある。禹貢は尚書の中で夏書の部類に入つて居るので、普通これを夏の時代の史官が書いたと考ふるのが從來の説である

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「東亜経済研究」1922(大正11)年2月発行、第六巻第一号

底本

  • 内藤湖南全集 第七巻
  • 筑摩書房
  • 1970(昭和45)年2月25日