ごくちゅうき
獄中記

冒頭文

市ヶ谷の巻 前科割り 東京監獄の未決監に「前科割り」というあだ名の老看守がいる。 被告人どもは裁判所へ呼び出されるたびに、一と馬車(この頃は自動車になったが)に乗る十二、三人ずつ一組になって、薄暗い広い廊下のあちこちに一列にならべさせられる、そしてそこで、手錠をはめられたり腰縄をかけられたりして、護送看守部長の点呼を受ける。「前科割り」の老看守は一組の被告人に普通二人ずつ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大杉栄全集 第13巻
  • 現代思潮社
  • 1965(昭和40)年1月31日