にほんだっしゅつき
日本脱出記

冒頭文

一 去年の十一月二十日だった。少し仕事に疲れたので、夕飯を食うとすぐ寝床にはいっていると、Mが下から手紙の束を持って来た。いつものように、地方の同志らしい未知の人からの、幾通かの手紙の中に、珍らしく横文字で書いた四角い封筒が一つまじっていた。見ると、かねてから新聞でその名や書いたものは知っている、フランスの同志コロメルからだ。何を言って来たのだろうと思って、ちょっとその封筒をすかして見た

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大杉栄全集 第十三巻
  • 現代思潮社
  • 1965(昭和40)年1月31日