モルモット |
| モルモット |
冒頭文
一 永いあいだの失業から生活難に追われて焦燥し、妻のヒステリーはひどくこうじて来た。彼女はちょっとした事にでも腹を立てて怒る、泣く、そしてしまいのはてには物をぶち投げて破壊するのであった。そうかと思うとまた、ありもしない自分の着物をびりびりっと引き裂いて了う。 彼はそんな風に荒んだ妻の心に、幾分のやわらか味を与えるであろうと思って、モルモットの仔を一つがい買って来た。牝の方は真っ白で眼が赤く、
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
- 新日本出版社
- 1985(昭和60)年9月25日