じょきゅう
女給

冒頭文

柴田登恵子——といって置く。彼女が社会運動の為め黒表(ブラックリスト)にのって就職口にも事欠くようになった処へ、かてて加えて持病の慢性膓加答児(ちょうかたる)でべったり床に就いて了った良人(おっと)を、再び世の中へ出そうという殊勝な考えから、その日その日に収入の有る料理屋働きを思い立ったのは去る一月なかばのことである。二人がほんの雨露をしのぐに足るだけの三畳のバラック、そこは羽目板や屋根裏の隙間か

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
  • 新日本出版社
  • 1985(昭和60)年9月25日