しがつばか
四月馬鹿

冒頭文

何が 南京鼠だい 『エミやあ! エー坊! エンミイ— おい、エミ公! ちょっと来てくれよオ、大変々々!』出勤際(でかけ)に、鏡台へ向って、紳士の身躾をほどこしていた文太郎君が、突然叫びたてました。 『なあに? なんて、けたたましい声を出すの? お朔日(ついたち)の朝っぱらから気の利かないブン大将』 妻君のエミ子が、台所から米国製の花模様のあるゴムの前掛で、手をふきながら出て来ました。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • アンドロギュノスの裔
  • 薔薇十字社
  • 1970(昭和45)年9月1日