うめはらりょうさぶろうしのモンマルトルのがしつ
梅原良三郎氏のモンマルトルの画室

冒頭文

僕は僕の下宿の路次の僕の薄暗い穴から出た。そして直ぐ左隣(ひだりどなり)の家の硝子戸をそつと押して入(はい)つた。階下の廊(らう)の左側(ひだりがは)の室(しつ)から門番(コンシエルジユ)のお上(かみ)の顔(かほ)が僕(ぼく)を見(み)て微笑(ほヽえ)んだ、僕の顔も微笑(ほヽえ)んだ。僕は直(す)ぐ狭い中庭へ出た。四方を高い建物で劃(しき)られて、井戸の底へ落ち込んだやうな処だ。正面に入口の石段が

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 科学と文芸
  • 交響社
  • 1915(大正4)年10月号