なんようかん
南洋館

冒頭文

緑(みどり)の褪(さ)めた、砂と塵挨(ごみ)だらけの、水気(みづけ)のない、いぢけた、倭(ひく)い椰子の木立、木伊乃(みいら)にした、動(うご)かない天狗猿、死(し)んだ、みすぼらしい、ちつぽけな鰐、くすんだ、黄土(わうど)と CHOCOLAT(シヨコラア) の色をした廉物(やすもの)の、摸造の爪哇(ジヤワ)更紗、まだ一度も生血(いきち)を嘗めず、魂(たましひ)の入らぬ、ひよろ長い毒矢(どくや)の

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 反響
  • 反響社
  • 1914(大正3)年10月号