しったつり
執達吏

冒頭文

(壱) 眞田保雄の事を此の十年来何かに附けて新聞雑誌で悪く書く。保雄は是(これ)と云つて私行上に欠点のある男でも無く、さりとて文学者としての彼の位置が然(さ)う文壇の憎悪を買ふ程に高くも無い。其の癖新体詩家である保雄は不断相応に後進の韻文作家を引(ひき)立てゝ、会を組織する、雑誌を発行する、其等の事に金銭と労力を費(つひや)して居る事は一通(とほり)で無い。彼が高利貸に七八千円の債務を負うて此の

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 読売新聞
  • 読売新聞東京本社
  • 1909(明治42)年3月14日~17日連載