ごもんしゅ
御門主

冒頭文

先刻(さつき)まで改札の柵の傍に置いてあつた写真器は裏側の出札口の前に移されて、フロツクコートの男が相変らず黒い切(きれ)を被(かつ)いだり、レンズを覗(のぞ)いたりして居る。その傍に中年老年の僧侶が法衣(はふえ)の上から種々(さまざま)の美しい袈裟を掛けて三十五六人立つて居る。羽織袴の服装(いでたち)の紳士もそれと同じ数程居て、フロツクコートを着た人も混つて、口々に汽車が後(おく)れたから、汽車

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 東京朝日新聞
  • 朝日新聞東京本社
  • 1912(明治45)年1月1日