すみやきのむすめ |
| 炭焼のむすめ |
冒頭文
一 低い樅(もみ)の木に藤の花が垂れてる所から小徑を降りる。炭燒小屋がすぐ眞下に見える。狹い谷底一杯になつて見える。あたりは朗かである。トーントーンといふ音が遙に谷から響き渡つて聞える。谷底へついて見ると紐のちぎれさうな脚袢(きやはん)を穿いた若者が炭竈(すみがま)の側で樫(かし)の大きな榾(ほた)へ楔(くさび)を打ち込んで割つて居るのであつた。お秋さんが背負子(しよひこ)といふもので榾を背負つ
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「馬醉木」1906(明治39)年7月
底本
- 現代日本文學全集6 正岡子規 伊藤佐千夫 長塚節集
- 筑摩書房
- 1956(昭和31年)6月15日