じゅうにしこう 10 いのししにかんするみんぞくとでんせつ |
十二支考 10 猪に関する民俗と伝説 |
冒頭文
1 十二月(大正十一年)初め博文館から「イノシシノゲンコハヤクオクレ」と電信あり、何の事か判らず左思右考するに、上総で蕨(わらび)を念じ、奥州では野猪の歌を唱えて蝮蛇(まむし)の害を防ぐとか。しかる上は野猪と蕨の縁なきにあらず。蜀山人(しょくさんじん)の狂歌に「さ蕨が握り拳(こぶし)をふり上げて山の横つら春風ぞふく」、支那にも蕨の異名を『広東(カントン)新語』に拳菜、『訓蒙字会』に拳頭菜など
文字遣い
新字新仮名
初出
1「太陽 二九ノ一」1923(大正12)年1月、2「太陽 二九ノ四」1923(大正12)年4月、3「太陽 二九ノ七」1923(大正12)年6月
底本
- 十二支考(下)
- 岩波文庫、岩波書店
- 1994(平成6)年1月17日