じゅうにしこう 07 さるにかんするでんせつ
十二支考 07 猴に関する伝説

冒頭文

(一) 概言       1 一条摂政兼良(かねら)公の顔は猿によく似ていた。十三歳で元服する時虚空に怪しき声して「猿のかしらに烏帽子(えぼし)きせけり」と聞えると、公たちまち縁の方へ走り出で「元服は未(ひつじ)の時の傾きて」と附けたそうだ。予が本誌へ書き掛けた羊の話も例の生活問題など騒々しさに打ち紛れて当世流行の怠業中、未の歳も傾いて申(さる)の年が迫るにつき、猴(さる)の話を書けと博文

文字遣い

新字新仮名

初出

概言1「太陽 二六ノ一」1920(大正9)年1月、概言2「太陽 二六ノ二」1920(大正9)年2月、性質「太陽 二六ノ五」1920(大正9)年5月、民俗1「太陽 二六ノ一三」1920(大正9)年11月、民俗2「太陽 二六ノ一四」1920(大正9)年12月

底本

  • 十二支考(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年1月17日