じゅうにしこう 06 ひつじにかんするみんぞくとでんせつ
十二支考 06 羊に関する民俗と伝説

冒頭文

「張り交(ま)ぜの屏風(びょうぶ)ひつじの五目飯(ごもくめし)」てふ川柳がある。この米高また紙高の時節に羊に関する雑談などを筆するは真(ほん)に張り交ぜ屏風を造って羊に食わすほど紙潰(つぶ)しな業(わざ)と思えど、既に六、七年続き来った『太陽』の十二獣談を今更中絶も如何(いかん)と、流行感冒の病み上りでふらつく頭脳で思い付き次第に書き出す。 既に米高と言ったから、米高がかった話より初めよう。

文字遣い

新字新仮名

初出

「太陽 二五ノ一」1919(大正8)年1月

底本

  • 十二支考(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年1月17日