うたよみにあたうるしょ
歌よみに与ふる書

冒頭文

歌よみに与ふる書 仰(おおせ)の如(ごと)く近来和歌は一向に振ひ不申(もうさず)候。正直に申し候へば万葉以来実朝(さねとも)以来一向に振ひ不申候。実朝といふ人は三十にも足らで、いざこれからといふ処にてあへなき最期を遂げられ誠に残念致し候。あの人をして今十年も活(い)かして置いたならどんなに名歌を沢山残したかも知れ不申候。とにかくに第一流の歌人と存(ぞんじ)候。強(あなが)ち人丸(ひとまろ)・

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 歌よみに与ふる書
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1955(昭和30)年2月25日、1983(昭和58)年3月16日第8刷改版