びょうしょうさじ
病牀瑣事

冒頭文

○我ながらなが〳〵しき病に飽きはてゝ、つれ〴〵のやるかたなさに書読み物書くを人は我を善く勉めたりといふ。日頃書などすさめぬ人も長き病の牀には好みて小説伝記を読み、あるはてにはの合はぬ歌発句をひねくりなどするものなり。況して一たび行きかゝりし斯道、これに離れよといはんは死ねといはんの直接なるに如かず。 ○をとゝしの頃は三十八度以上の体熱ありて、しかも能く客と語り能く字を書くを自ら驚き思へり。今年五

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆28 病
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年2月25日