こがねむし
黄金虫

冒頭文

おや、おや! こいつ気が狂ったみたいに踊っている。タラント蜘蛛(ぐも)に咬(か)まれたんだな。 『みんな間違い ((1))』 もうよほど以前のこと、私はウィリアム・ルグラン君という人と親しくしていた。彼は古いユグノー ((2))の一家の子孫で、かつては富裕であったが、うちつづく不運のためすっかり貧窮に陥っていた。その災難に伴う屈辱を避けるために、彼は先祖の代から

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 黒猫・黄金虫
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1951(昭和26)年8月15日