びょうしょうせいかつからのいちはっけん
病床生活からの一発見

冒頭文

病気といふものは、私にとつて休息のやうに思はれる。健康の時は、絶えず何かしら心に鞭うたれる衝動を感じてゐる。不断に苛々して、何か為ようと思ひ、しかも何一つ出来ない腑甲斐なさを感じてゐる。毎日毎日、私は為すべき無限の負債を背負つてる。何事かを、人生に仕事しなければならないのだ。私が廃人であり、穀つぶしでないならば、私は何等か有意義の仕事をせねばならない。所が私といふ人間は、考へれば考へるほど、何一つ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆28 病
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年2月25日