みずくみ
水汲み

冒頭文

玉川に遠いのが第一の失望であつた。井(いど)の水が悪いのが差当(さしあた)つての苦痛であつた。 井(いど)は勝手口から唯(たゞ)六歩(むあし)、ぼろ〳〵に腐つた麦藁屋根(むぎわらやね)が通路(かよひぢ)と井(いど)を覆(お)ふて居(を)る。上窄(うへすぼま)りになつた桶の井筒(ゐづゝ)、鉄の車は少し欠けてよく綱がはずれ、釣瓶(つるべ)は一方しか無いので、釣瓶縄の一端を屋根の柱に結(ゆ)は

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆33 水
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年7月25日