さいなんざっこう
災難雑考

冒頭文

大垣(おおがき)の女学校の生徒が修学旅行で箱根(はこね)へ来て一泊した翌朝、出発の間ぎわに監督の先生が記念の写真をとるというので、おおぜいの生徒が渓流(けいりゅう)に架したつり橋の上に並んだ。すると、つり橋がぐらぐら揺れだしたのに驚いて生徒が騒ぎ立てたので、振動がますますはげしくなり、そのためにつり橋の鋼索が断たれて、橋は生徒を載せたまま渓流に墜落し、無残にもおおぜいの死傷者を出したという記事が新

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1935(昭和10)年7月

底本

  • 寺田寅彦随筆集 第五巻
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1948(昭和23)年11月20日、1963(昭和38)年6月16日第20刷改版