ちち

冒頭文

イサク、父(ちち)アブラハムに語(かた)りて、 父(ちち)よ、と曰(い)ふ。 彼(かれ)、答(こた)へて、 子(こ)よ、われ此(ここ)にあり、 といひければ、            ——創世記二十二ノ七 義のために、わが子を犠牲にするという事は、人類がはじまって、すぐその直後に起った。信仰の祖といわれているアブラハムが、その信仰の義のために、わが子を殺そうとした事は、旧約の創世

文字遣い

新字新仮名

初出

「人間」1947(昭和22)年4月

底本

  • 太宰治全集9
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1989(平成元)年5月30日