きろうでんせつについて
棄老伝説に就て

冒頭文

誰も知つた信州姨捨山(をばすてやま)の話の外に伊豆にも棄老傳説があると云ふのは(郷土研究三の二四三)棄てられた老人には氣の毒だが、史乘に見えぬ古俗を研究する人々には有益だ。一九〇八年板ごむの「歴史としての民俗學」第一章などを見ると、今日開明に誇る歐羅巴人の多くの祖先も都々逸(どゞいつ)御順(ごじゆん)で、老は棄てられ壯きは殘る風俗で澄(スマ)して居たらしい。吾邦固より無類の神國で、上代の民純朴だつ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 土俗と傳説
  • 文武堂店
  • 1918(大正7)年8月