だんすいのひ
断水の日

冒頭文

十二月八日の晩にかなり強い地震があった。それは私が東京に住まうようになって以来覚えないくらい強いものであった。振動週期の短い主要動の始めの部分に次いでやって来る緩慢な波動が明らかにからだに感ぜられるのでも、この地震があまり小さなものではないと思われた。このくらいのならあとから来る余震が相当に頻繁(ひんぱん)に感じられるだろうと思っていると、はたしてかなり鮮明なのが相次いでやって来た。 山

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京大阪朝日」1922(大正11)年1月

底本

  • 寺田寅彦随筆集 第一巻
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1947(昭和22)年2月5日、1963(昭和38)年10月16日第28刷改版