かめれおんにっき
かめれおん日記

冒頭文

蟲有蚘者。一身兩口、爭相齕也。遂相食、因自殺。 ——韓非子——          一 博物教室から職員室へ引揚げて來る時、途中の廊下で背後(うしろ)から「先生」と呼びとめられた。 振返ると、生徒の一人——顏は確かに知つてゐるが、名前が咄嗟には浮かんで來ない——が私の前に來て、何かよく聞きとれないことを言ひながら、五寸角位の・蓋の無い・菓子箱樣(やう)のも

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 中島敦全集第一巻
  • 筑摩書房
  • 1976(昭和51)年3月15日