しょかん(いち)
書簡(Ⅰ)

冒頭文

拝復。島木(しまき)さんの事について何か書くようにとの御手紙を頂きましたので、考えてはみましたが、私は同氏から稀に御手紙は頂戴しておりましたものの、御目にかかったのは前後にただ一度だけ、それも宴会の席上でちょっと御挨拶をしたばかりでありまして、同氏の追憶と云っては別段に申上げるほどの資格も御座いません。 ただ何か強(し)いて申上げようとすれば次のような事で御座います。 「島木赤彦」

文字遣い

新字新仮名

初出

「アララギ 島木赤彦追悼号」1926(大正15)年10月10日

底本

  • 寺田寅彦全集 第一巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年12月5日