ねぎしあんをおとなうき
根岸庵を訪う記

冒頭文

九月五日動物園の大蛇を見に行くとて京橋の寓居(ぐうきょ)を出て通り合わせの鉄道馬車に乗り上野へ着いたのが二時頃。今日は曇天で暑さも薄く道も悪くないのでなかなか公園も賑(にぎ)おうている。西郷の銅像の後ろから黒門(くろもん)の前へぬけて動物園の方へ曲ると外国の水兵が人力(じんりき)と何か八釜(やかま)しく云って直(ね)ぶみをしていたが話が纏(まと)まらなかったと見えて間もなく商品陳列所の方へ行ってし

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 寺田寅彦全集 第一巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年12月5日