ほし

冒頭文

天幕の破れ目から見ゆる砂漠の空の星、駱駝(らくだ)の鈴の音がする。背戸(せど)の田圃(たんぼ)のぬかるみに映る星、籾磨歌(もみすりうた)が聞える。甲板に立って帆柱の尖(さき)に仰ぐ星、船室で誰やらが欠(あく)びをする。 (明治三十二年十月『ホトトギス』)

文字遣い

新字新仮名

初出

「ホトトギス」1899(明治32)年10月

底本

  • 寺田寅彦全集 第一巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年12月5日