ばうばうとした野原に立つて口笛をふいてみてももう永遠に空想の娘らは来やしない。なみだによごれためるとんのずぼんをはいて私は日傭人のやうに歩いてゐる。ああもう希望もない 名誉もない 未来もない。さうしてとりかへしのつかない悔恨ばかりが野鼠のやうに走つて行つた。 萩原朔太郎といふ詩人は、もうすでに此世にはないけれども、此様な詩が残つてゐる。専造は、大学のなかの、銀杏並木の下をゆつくりと歩きながら、この