こんき
婚期

冒頭文

九月にはいつて急に末の妹の結婚がきまつた。妹と結婚をする相手は長い間上海の銀行に勤めてゐたひとで、妹とは十二三も年齡の違ふひとであつたが、何故だか末の妹の杉枝の方がひどくこのひとを好きになつてしまつて、急に自分がゆきたいと云ひ出した。 始めは長女の登美子にどうだらうかと仲人の與田さんが話を持つて來たのであつたが、登美子は今度も氣がすすまないと云つて、與田さんの話をそのままにして過してゐた

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 風琴と魚の町
  • 鎌倉文庫
  • 1946(昭和21)年6月25日