ぬれたあし
濡れた葦

冒頭文

1 女中にきいてみると、こゝでは朝御飯しか出せないと云ふことで、ふじ子はがつかりしてしまつた。子供たちは、いかにも心細さうにあたりをながめてゐる。ふじ子はひよいとしたら、丼物でもとつてもらへるかも知れないと、女中に、何か食べものを取りよせてもらへるかときいてみた。 「さうですねえ、お蕎麥か、親子丼ぐらゐのとこでしたら‥‥」 「ぢやア、親子丼とうどんかけを一つづつ取つて下さいませんか」

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 惡鬪
  • 中央公論社
  • 1940(昭和15)年4月17日