げんかんのてちょう
玄関の手帖

冒頭文

小さい就職 常次は東京へ來て三日目に職業がきまつた。大森の近くにある、或る兵器を造る會社ださうで、會社も大きいけれど、職工の數も大變なものださうである。常次が東京へ出て來た時、私は常次に、また、去年のやうに神田の食堂に出前持ちに行くのかとたづねてみると、常次は學生服のポケツトから、大事さうに新聞の切拔きを出して、軍需工場へ勤めてみたいと云つた。常次は私の甥で、今年十八歳である。信州の山國そだ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 惡鬪
  • 中央公論社
  • 1940(昭和15)年4月17日